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仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)113号 判決

本件訴訟記録によれば原審検察官は原審第一回公判期日に公訴事実一の贓品を買受けたこと並びに同二の贓品買受けの交渉を受けたことの立証として証人小山内有年を、公訴事実一、二の贓品を預つたことの立証として証人今泉ふづを公訴事実二の贓品を預つたことの立証として証人鈴木やつゑを、公訴事実二の被害について証人田中正雄を、公訴事実三について証人松田繁蔵を而して公訴事実三の贓品を預つたことの立証として証人田中とみえの各証人尋問を申請し、該申請が許容された結果原審第二回公判期日に右六名の証人尋問がなされ、次に原審第三回公判期日に検察官は所論の検察事務官作成の各供述調書(但し右検察事務官は検察官事務取扱検察事務官であつて、その供述調書は検察官に対する供述調書と同一の効力を有するのであるから以下検察官に対する供述調書と記載することにする)の取調を請求しこれに対して弁護人及び被告人から同意不同意に関する意見の開陳については別段の記載がないが原審において右証拠書類を取調べる決定をなし取調を行つたことが認められる。然るところ右各供述調書の取調請求に当つてはそれによつて立証せんとする事項については特段の記載がなく更に右調書は刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号による証拠書類として提出されたものなのか或はまた同法第三百二十八条による証拠書類として提出されたものなのかその点に関する陳述もなされた旨の記載が存しないことも記録上明らかである。所論は前記各供述調書の取調請求に当つては検察官はこれにより立証せんとする事項の陳述をなすべきであり、かかる手続が履践されていない原審の訴訟手続は同法第三百二十六条に違反するものであると主張するけれども前述の如き原審における公判の諸手続の経緯に徴するに右各供述調書は何れも刑事訴訟法第三百二十八条による証拠として取調べた旨の特別記載なく又原審公判廷において取調べられた証人の供述後に引き続いて取調請求がなされた経緯より考察すれば右は同法第三百二十一条第一項第二号所定の関係にある証拠書類として提出されたものであることは明らかであり、更に前述の如く各証人尋問請求に当つては検察官においてその証拠によつて証明すべきことを明確にしているのであるから前記証拠書類の取調請求に当つて重ねていわゆる立証事項を明確にしなければならないものではないこと自ら明らかである。されば原審の此の点に関する訴訟手続には所論の如き違法の廉なく、原審においては所論の如く同法第三百二十八条の証拠を以て犯罪事実認定の資に供した違法も存しない。

(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 大島雷三 裁判官 松本晃平)

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